パイオニア志向の医師・医学生のための進路検討/キャリア形成プラットフォーム

crossphereの理念

私たちはここに、
「パイオニア志向の医師・医学生のための進路検討/キャリア形成プラットフォーム」
の設立を宣言します。
これは、価値観や方向性がちょっと変わった、しかしその非凡な能力を以てパイオニアたろうとする日本の若手医師・医学生、そして各分野の先駆者たちが広く集い、興味関心を同じくする者同士、時には興味関心が異なる者同士で情報交換をし、それぞれの目指す将来像を具体化し、実現してゆくための場です。
私たちには実現させたい世界があります。
日本の医師・医学生が、
①「自分が選んだ日々の仕事を心から楽しみ」、かつ
②「『自分が最先端だ!』という自尊心を持ち、世界を舞台に活躍している」
そんな世界です。
これは必ずしも、例えば「米国で医師をやる」「WHOで働く」といったことのみを意味している訳ではありません。
実践の場の国内・国外を問わず(地球外も!)、私たち日本の医師・医学生が、各々の情熱を注ぐことができるフィールドを見つけ、そこで、「文字通り」世界の最先端をゆく。
「世界を舞台に」、とは、このような意味なのです。

「情熱を注ぐことができる領域で『最先端』に到達する」というこの理想を実現するために我々がまだ若手である間にすべきことの最適解を、私たちは以下の二つと考えます。
①「自分が本当にやりたいこと」の探求とそれに基づいた進路選択
そして、
②先駆者やライバル達と相互作用しあうこと
です。

・人間、やりたいことには最大限のエネルギーをかけられて、しかも疲弊しにくい
・現代はコラボレーションによるビッグプロジェクトの時代
・「最先端」を追うには、周辺環境と自分の現状認識が欠かせない
etc…
これらはごく普通の一般論から言えることです。

医学も好きだけど、絵を描くほうがもっと好きな人。
実は医学より化学合成が得意な人。
そんなに医学に興味がなくて、数式を見ている方が楽しい人。

「そもそも私は医師に向いているのか?」
とかつて自問した方もいるでしょう。
「そもそも君、医者に向いてるの?」
と、問われた方もいるでしょう。

なぜこのような問いが生まれるのでしょうか?
それはきっと、「医師」という言葉から想起する内容の幅が狭いからです。
私たち一人一人は特有の資質を持った存在であり、その資質を以てこの先何をするかも、当然、個別的であって良いはずなのに。
具体的に自分に提示する・提示される選択肢一つ一つの幅の狭さが、結局私たちの着地点を似た地点に収束させるのです。

しかし、私たちは問いたい。
自分が本当にやりたいこと、やるべきこと、適していることから切り離された人は、「最先端」まで到達できるのでしょうか。
そして、やっと情熱を注げるフィールドを見つけられたとして、先駆者・メンター、共に切磋琢磨する仲間を持たずして、また冷静な自己批判もなく、私たちは「最先端」まで到達できるのでしょうか。

否です。

そして、このような現状にあっても、ある意味、「外れ値」となった医師たちは存在していて。
その、替えの利かない目線で、新たな分野を開拓しているのは、あるいは歴史ある分野を次のステージに押し上げているのは、彼らのような存在です。
そして、その偉大な先駆者たちは、後ろに続く者の出現を待ち望んでいるのに。

現状、それは偶発的にしか起こらない奇跡になってしまっているのです。

それを、必然にするプラットフォーム。
最先端を目指し、思う未来を創りたいと望む人々が集う場です。

医学という大きな木が、根をはり、枝葉を伸ばす範囲はとても広く、しかもまだ成長途中です。
病理学、生理学、生化学に留まらず、人工知能による音声認識や画像認識、社会医学、ヘルスプロモーションなどの新しい領域が近年注目されています。
そこでは、医学知識のみならず医学の枠組みを越えた能力の融合が必要とされます。

でも、人間、展望もなくして一人だけ別の方向を向ける者ばかりでしょうか?

「ロールモデルは世界中に溢れているはずなのに、実際には会える気がしないな」
「あの先生と話してみたいけど、遠方だし…」
こういった問題は、残念ながら無視できないほど大きいものです。その結果、「近くにある『なんとなく』の進路選択」をしてしまう先輩の姿を見たことがある人も、決して少なくないのではないでしょうか。

「『米国で医師をする』夢の実現性の乏しさ」が、その典型例です。
東大や京大、または都内には自助的なUSMLEのための学習グループがある一方、地方にはそのようなグループが存在せず、孤立している医学生が多い。
これは、私たちのメンバーが、これまでの活動で得た実感です。
多くの人がかつて一度は海外での臨床活動を望んだことがあると思います。しかし、実際はどうだったでしょうか。
どのように実現するかわからず、いつの間にか学年は上がり、いつの間にかその夢は減衰し、いつしかそのような夢を持っていたことすら忘れてしまう。そして、「近くにある進路選択」をする。

USMLEの例は一例に過ぎませんが、私たちが変えたいのはこのような現状です。
こういった状況を、日本の若手、そして偉大な先輩方で一丸となって、変えて行きたい。冒頭に記した私たちの目標は、そういう願いがあってのことです。

10年後の自分の姿を、そして10年後に自分が変えつつある世界の形を、はっきり思い描く。
その個々人固有のベクトルが交錯(cross)し、化学反応を生み出す場(sphere)となれることを、私たちは願ってやみません。